臺灣文學虛擬博物館

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百年の旅びと──佐藤春夫1920台湾旅行文学展

結語

文学者にして絵心を解し、詩人にして小説家。空想家かつ現実家で、ロマン主義者と古典主義者とが同居していた佐藤春夫の絢爛たる芸術世界は、変幻自在でとらえがたく、その全貌の解明は、没後半世紀以上を経た今、多くの新資料を手がかりにようやく始まりました。

なかでも、台湾の植民地社会を自らの眼で捉え、果敢に問題提起を行った彼の旅行文学は、今も宝玉のように輝いています。昭和時代の不幸な戦争のさなか、佐藤が数多くの愛国詩を書いて国民を鼓舞したことが、戦後長く問題にされた側面もあります。しかし、大正時代の日本人として、自らに潜む偏見を絶えず気にしながら、植民地の住民感情にこれほど深い理解を示すことができた功績は驚異的なものです。忘れてはならないのは、この達成が、佐藤を取り巻く様々な立場の台湾人・日本人との交流の中から生み出されたことでしょう。

100年前の台湾を訪れた一人の旅びとと一緒に、夢や苦しみをそれぞれに抱えて植民地に生きた人々の声に耳傾けてみましょう。そこから聞こえる文化や国籍をめぐる問いかけは、決して過去のものとは言えません。また、立場を超えて分かり合おうとする人々の姿勢は、現代の我々に大きな希望を与えてくれます。100年の時を超えて生き延びてきた佐藤春夫の感性は、これからも未来へと旅を続けていくのです。

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